チャリダー★ライターの「カクシゴト」

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え?「都は何もしません」自転車パブコメに対する都の姿勢

「改定 東京都自転車安全利用推進計画(中間案)」に対するパブリックコメントの結果が発表されました(2016年2月実施)。

パブコメに対する都の回答を見てみると、全体的に貫かれているのは「そのご意見に対しては、都は何もしません。するつもりがありません。なぜなら、それについては、既にいろいろやっていますから」という姿勢。(区市町村や警察まかせで、都は駐輪場ひとつ作るつもりはない

現状が問題だらけだから、いろいろな意見が寄せられたのだと思うのですが……。(ちなみに個人的には「?」と感じる意見もありますが、それはさておき)

ちょっと調べてみたのですが、この計画を推進している東京都の「青少年・治安対策本部」というのは、どうも前々から自転車を目の敵にしていてるっぽいですね。それが今回のパブコメへの回答にも、よーく表れていると思います。

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もっと都内で自転車事故が起きて、訪日外国人に、こんな恥ずかしい指摘をガンガンされなければ、今のまま2020年までいっちゃうんですかね?
Is Tokyo Bike Friendly? (YouTube)

意見の概要(読みやすくするために、ご意見を緑色で紹介します)。
・自転車乗用中死者数を目標化するのは適切ではない。
・スポーツタイプの自転車利用者が増えているので、死亡事故も多く発生していると考えられる。死者数だけ単純に比較して増加傾向にあるとしているのではないか。

→都の考え方
自転車乗用中死者数については、死者数1人の増減により数%の変動が生じることとなるため、具体的な数値を目標とすることは適当ではないという考えもありますが、死者数は最も重要な指標であることに鑑み、数値目標を設定しました。

また、スポーツタイプの自転車利用者の死者数については、平成25年は1名であったのが、平成26年は8名、平成27年は4名と増加傾向になりました。総数として増加している以上、新たな対策が必要と考え、本改定に盛り込んでいます。

・自転車の逆走は危険であり、車道を通る場合は左側通行だということを徹底するべきである。また、それをニュースや新聞にも取り上げてもらう必要がある。

→都の考え方
車道の左側通行については、これまでのリーフレット、啓発品、交通安全教室等を活用した普及啓発に加え、P16に記載のとおり新たに警視庁にて、自転車の通行位置や進行方向を示す自転車ナビマーク、自転車ナビラインを幹線道路に設置する「自転車ナビルート設置計画」を推進し、徹底を図ります。

また、ニュースや新聞等において取り上げていただくことも重要と考えており、P10において、マスメディア等の活用についても記載しています。

・小学校及び中学校の義務教育機関において都が交通安全教育を実施すべきである。

→都の考え方
都では、自転車ルール・マナーを楽しく学ぶことができる自転車シミュレータを活用した交通安全教室を小学校や中学校等において、平成24年度から実施しております。学校の先生や児童・生徒の皆様からも、好評をいただいており、平成28年度も引き続き、学校等において実施いたします。

・P10の「自転車を一人で利用する者」という言葉はわかりにくいので、他の表現に改めるべきである。

→都の考え方
ご意見を踏まえ、「成人を含め、保護者の監督下を離れて自転車を一人で利用する者(以下「一般利用者」といいます。)」とし、「一般利用者」という表現に変更します。

・自動車は、自転車を追い越す場合は、十分な間隔をキープして、無理な追い越しをしないことが大切である。

→都の考え方
ご意見の趣旨については、計画の中間案において、行政が自動車運転者を参加者に含む交通安全教室等において、自転車の通行ルールや自転車の特性等について説明するなどして、自転車が車両の一つであり、車道においてはお互いの安全に配慮した運転をしなければならないことを理解させる旨記載しているところです。

また、警視庁が、自動車運転免許の更新時講習や処分者講習、安全運転管理者講習等の機会を捉え、自動車等の運転者が車道を走行する自転車の安全に配慮した運転を心掛けるよう、運転者が遵守すべき事項の教育を行うという点についても記載しています。

・行政による取組」の項における行政職員の取組については、項目を分けた方がわかりやすいのではないか。

→都の考え方
ご意見を踏まえ、行政職員が主体として取り組む内容については、「自転車を利用する主体としての取組」として、項目を分けて表記を修正しました。

・交通安全教育を受けた人に「受講者証」を発行して自転車を購入する際には提示を義務づけると効果的だと思うが、短期的には、学校や地域での交通安全教育をできるだけ多くの人に受講してもらう工夫が必要ではないか。

→都の考え方
都では、「自転車安全利用TOKYOセミナー」や「自転車シミュレータ交通安全教室」の受講者等に、「自転車安全利用宣言証」を交付し、自転車安全利用者が自覚して行動する気運の醸成を図っています。

また、様々な企業や施設の皆様のご協力を得て、宣言証をお持ちの方に特典をご用意させていただき、交通安全教育をできるだけ多くの人に受講してもらえるよう取り組んでおり、引き続き交通安全教育の受講を促進してまいります。

・英語・中国語・韓国語など、外国人の違反者が理解できる言語でのパンフレットを作製する必要がある。

→都の考え方
ご意見のとおり、外国人に対する交通安全に係る啓発は重要と考えており、当課では現在英語版での自転車安全利用啓発リーフレットを作成しているとともに、来日外国人向け交通安全DVD(英語・中国語・韓国語など合計9か国語)を平成28年3月に作成しました。今後はこれらの媒体を活用し、外国人向けの啓発を一層強化してまいります。

・都営の駐輪場を整備すべきである。
・駐輪場の整備は、大規模なものだけでなく、需要に見合った小規模多数設置が必要である。

→都の考え方
公共の駐輪場は、地域の実情に応じて、区市町村が中心となって整備しています。広域的自治体である都としては、今後とも、地域の実情に応じた駐輪場の整備が進むよう、区市町村に対する協力等を行っていきます。

・駐輪場の情報を提供する携帯・スマートフォン用のアプリを開発してはどうか。

→都の考え方
P14に記載のとおり、東京都では、自転車利用者による駐輪場の利用を促すことを目的として、区市町村を通じて把握した駐輪場の情報をホームページにて公開しています。この情報を活用し、インターネットで地図情報を提供している事業者等が運営する地図に駐輪場の場所や営業時間等を表示していただいております。

・車道の左側に自転車のマークと走行方向を示す矢印を書くことが必要である。

→都の考え方
車道の左側通行の徹底のため、P16に記載のとおり、警視庁において、自転車の通行位置や進行方向を示す自転車ナビマーク、自転車ナビラインを幹線道路に設置する「自転車ナビルート設置計画」等を推進するなど、取組を進めます。

・個々の道路利用者に忍耐を強いるのではなく、通行空間を構造的に分離することで、問題の原因を根本から解消すべきである。
・高齢者や子供や幼児同乗の自転車などが安心して走れるように車道から物理的に分離された空間を優先して整備して欲しい。

→都の考え方
道路管理者及び警視庁は、「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」(平成24年11月国土交通省道路局・警察庁交通局。)も参考にして、道路の構造や利用状況等を踏まえ、自転車道、自転車レーン(普通自転車専用通行帯)、車道混在(自転車ナビマーク・自転車ナビライン等)、自転車歩行者道における自転車の通行部分の指定等の適切な手法を選定した上で、歩行者、自転車、自動車それぞれが安全に通行できる環境を整備する旨計画に記載しているところであり、東京の実情に応じた整備手法を検討しながら、整備を進めます。

・自転車メーカーにウインカー等の開発・普及を求めるというのは、民業圧迫である。

→都の考え方
自転車は、車両でありながら、自動車等と異なり、車検制度や車体の安全性に関する基準がほとんどなく、安全性が十分とは言えない車体が流通・利用し得る状況にあります。そうした中で、自転車製造事業者が、自転車の安全利用を実現するために、自らの社会的責任として、より安全性の高い自転車の開発・普及をすることは重要であり、これは、東京都自転車安全利用条例上の責務とされています。この計画には、こうした条例の規定を踏まえて、自転車製造業者の取組も記載しました。こうした社会的に意義のある取組を記載することは、民業への不当な圧迫には当たらないと考えています。

・自転車の交通違反の取締を積極的に行い、道交法に則り罰金の徴収も行う必要がある。

→都の考え方
P20に記載のとおり、警視庁が、信号無視やブレーキのない自転車の運転を始めとする悪質・危険な違反者に対しては交通切符による取締りを実施する旨記載しているところです。

また、毎月の交通安全日に、自転車対策重点地区・路線において、「管下一斉自転車指導警告・取締り活動」による集中的かつ重点的な指導警告・取締り活動を行うという点についても記載しています。

【関連リンク】
・東京都がパブコメ募集~おかしな自転車計画に魂の提言を!※既に締め切っています

・「改定東京都自転車安全利用推進計画(中間案)」に対するパブリックコメント募集の結果 ※PDFが開きます

・「東京都自転車安全利用推進計画」を改定|東京都 ※これが改訂された計画です