デザインの記憶~ガーミンのウェアラブル・サイコンVaria Vision2から考える~
今や懐かしのデザインの感があるけど、これはガーミンが今年発売予定のウェアラブル・サイコン「Varia Vision2」(日本での発売は未定)。
手持ちのメガネに付ければ、速度や心拍数などのデータが視界内に表示される。これなら走行中に下を向かなくてもサイコンをチェックできるよ、ということらしい。
果たしてそれが安全なのかという疑問はさておき(日本だと道交法にひっかかる?)、このデザインでは「人のプライバシー、のぞき見するなー」的な誤解を受けて、周りの人間にキレられそうな気がする。サイコンチェック以上に、そっちの危険性のほうが高かったりして?
デザインの記憶
メガネ型端末は、発表当時はデザインの違和感が強烈だったけれど、メディアに頻繁にとりあげられたことで、あっという間に見慣れたデザインになった。そして今や、プライバシーの観点から、周囲から嫌われるデザインになってしまった。
周りの人間からしてみれば、メガネ型端末をしている人が何を見ているのか、景色を録画しているのか、見えるものについて検索しているのかわからない。そのわからなさが、周りに不安やストレスを与えてしまう。これは電車での携帯電話が周りにとって不快なのと同じだろう(話の全体はわからないのに、部分的に会話をむりやり聞かされる)。
ウェアラブル・サイコンは、走っている最中は、さすがに検索しているとは思われないだろうけど、コンビニに寄ったときや信号待ちのとき、人と目が合ったら? やっぱりちょっと嫌だなって、思われるんじゃないかと思う。
決して好ましいとはいえない印象が定着したデザインを、今回のガーミン製品が「安全で有益なデザイン」に転換できるだろうか? そういう記憶の書き換えを果たすぐらいの勢いがなければ、この手のデザインのものは、もうヒットすることはないだろう。
使い手がどう感じるかだけではなく、周りがどう感じるかもデザインには必要な視点なのだから。
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