【私見訥々】なぜ企業のwebはつまらないのか?
この本を読んで、糸井重里のことが、ちょっと怖くなった。
『インターネット的』は今から14年前の2001年に書かれたものだけれど、見事に今のインターネットで起きているモノの売り方・買い方の変化を言い当てている。
たとえば、これからの商品についてはこんなふうに書かれている。
雑談的なものも含めたWHOLE(まるごと)として消費者に伝えられていくようになる(中略)それを企業のほうから積極的に開示していく時代になっていく
これ、ツイッターとかフェイスブックがまだ登場していない時期に書かれたものですよ。
どうしてこんなことを予言できたのか? それは筆者の糸井重里が、ほかの企業よりもちょっとだけ早く、1998年に「ほぼ日刊イトイ新聞」というwebを立ち上げ、毎日更新し続けてきたから。筆者は体感としてインターネットで起きることが予見できたのだ。
この本には、2001年から見た未来の「インターネット的」時代のゆくえが示されている。その「ゆくえ」というのは正に今のことなので、今あらためて読む必要はない……なんてことはなく、この本は、今こそ読むべきだと思う。
なぜなら、ここに書かれている予言はすべて、「インターネットを使う人の気持ち」から考えて導き出されたものだから。
ネットはPCとPCをつなぐものなんかじゃなくて、PCの前にいる人と人をつなぐもの。だから、ネットを使う人の気持ちを抜きに最先端のテクノロジーを取り入れたり、新たなビジネスモデルの構築を考えたってしょうがない。
テクノロジーの進化やマーケットの変化に振り回されないで、ちゃんと人の想いを人に届けられるライターでありたい。そうあらためて思わせてくれた一冊だ。
【追記】2014年に文庫化されてたんですね。