歩行者が加害者になるとき~『自転車事故の法律相談』~
歩行者の飛び出しに遭い、“私が”殺されかけた話を先日書きました(「歩行者も加害者になることを知って欲しい」)。今回はその補足として、法律と事例を紹介します。
まずは法律から。歩行者だろうとチャリダーだろうと、故意又は過失によって他人を傷つけた場合は、賠償責任を負います(民法第709条)。では、どんな事例があるのかというと……
『自転車事故の法律相談』によると(悲しいかな、こんな本があるほど自転車事故が多いということなのでしょう)、赤信号を無視した歩行者と自転車の事故で、歩行者の不法行為責任を認め、自転車側に30%の過失相殺をした例があります。また、横断禁止場所で渋滞車両の間をぬって横断していた歩行者が原付バイクとぶつかり、運転者が死亡、歩行者が脳挫傷を負った例では、原付バイク30%、歩行者70%の過失相殺としています。
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、乱暴に言ってしまえば、「歩行者だからといって、完全無欠の被害者だと思うなよ」ということです。歩行者でも過失があれば、その過失の分だけ、加害者が支払うべき賠償金額からきちんと引かれるのです。場合によっては、車両運転車よりも重い過失が認められるのです。
『自転車事故の法律相談』は弁護士が書いた専門書ですが、法律家だけでなく、事故の当事者や一般の人にも読んで欲しいという思いから、わりと読みやすく書かれています。事例はもちろん、賠償金額の算定の考え方や紛争解決の方法などについても解説されているので、気になることがあればチェックしてみてください。ちょっとお高いので、手に取りにくいかもしれませんが……。
【参考までに、こんな情報&本もあります】
・人身事故と過失相殺(損害保険ジャパン日本興亜株式会社)
・交通事故対応マニュアル(交通事故・弁護士相談広場)
・犬が飛び出し、自転車運転者がケガ。飼い主が300万円支払いで和解(産経WEST)