チャリダー★ライターの「カクシゴト」

東京在住のライターは何を考えているのか?

自転車の安全に関わるパブリックコメントの実施結果をお知らせします

先日は「自転車ネットワーク計画策定の早期進展と安全な自転車通行空間の早期確保」に向けた提言(案)に関するパブリックコメントの提出にご協力くださいまして、ありがとうございました。

みなさまから寄せられたご意見は、2016年2月末に開催された「安全で快適な自転車利用環境創出の促進に関する検討委員会」で報告されました。その資料がwebで公開されましたので、ご報告いたします。

全部で208件のご意見が寄せられたようです。以下はご意見の概要と、それに対する回答です(読みやすくするために、ご意見を緑色で紹介します)

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寄せられたご意見と、それに対する回答

自転車走行環境の分析と提言が明確になされている。23件
→ご意見は今後の取組の参考とさせていただきます。

表現が分かりにくい。19件
→いただいたご意見を参考に、表現の適正化を図りました。

国外の自転車利用・事故状況等を適正に伝えていない。21件
→提示した資料やデータは出典等を確認の上、適正に使用しています。

判断の目安となる指標を明らかにして、自転車ネットワーク計画策定を促す取組が必要である。8件
→ご意見は今後の取組の参考とさせていただきます。

市区町村の担当者は、好事例を提示すれば自転車ネットワーク計画策定を必要性を感じることができる。11件
→ご意見は今後の取組の参考とさせていただきます。

対象エリア全ての路線を対象に、網羅的に自転車通行空間を整備することは現実的ではない。5件
→対象エリア内の利用実態や通行空間としての安全性の状況、将来計画等を総合的に勘案して、必要な路線をネットワーク路線として位置づけるものと考えています。

パブリックインボルブメントの流れと、技術検討、計画検討の流れとの接点を水平方向の矢印で書き加えるべき。5件 / パブリックインボルブメントの対象を明確にしていただきたい。8件
→各段階におけるパブリックインボルブメントの進め方について継続的に検討する予定です。

路面表示を全国的に統一することは,安全な自転車通行空間の早期確保には大変有効である。11件
→ご意見は今後の取組の参考とさせていただきます。

路面表示を既に整備している自治体については、地域の実情に応じた整備を妨げるものとならないようにしてほしい。32件
→外国人を含めたより多くの自転車利用者とドライバーの双方に、自転車通行ルールをわかりやすく伝えること等を総合的に勘案し、委員会で検討を重ねた結果、本提言(案)のデザインとなっています。なお、提言(案)では「道路や交通の状況、地域の実情に応じて表示内容等に工夫を加えることで、より一層の効果が期待できる場合には、それらの取組を妨げるものではなく、様々な応用もあり得る」としています。

路面表示のピクトグラムは、乗員を含めず、自転車だけのピクトグラムにしたほうが道路交通法における標識・標示と互換性があってよい。9件
→自転車のピクトグラムは法定外表示であり、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」で定められた道路標示と誤解を招かないように区別する必要があります。

矢羽根型路面表示や自転車のピクトグラムの寸法の設定根拠を明確にすべきである。6件
→「自転車道及び車道での自転車通行空間」を「自転車道、自転車専用通行帯及び車道混在」に修正した上で、本提言(案)の路面表示の幅は、国土技術政策総合研究所による自転車の安心感や自動車からの視認性や走行性に関する実験結果や、自転車の幅を踏まえて検討したことを追記します。
また、自転車のピクトグラムと併記する矢印の寸法も0.75mと表示しています。

自転車の歩道通行を可能とすべき。17件 / 自転車を「車両」とすることは見直しすべき。12件
→自転車本来の走行性能及び歩道上における歩行者保護の観点から、自転車は車両であり車道通行が原則であるという考え方を基本としています。なお、普通自転車歩道通行可とされていない歩道であっても、例えば、運転者が幼児・児童や高齢者等である場合等には、法令の範囲内で歩道を通行することが可能と承知しています。

普通自転車の歩道通行可は、自転車は車道通行という大原則から外れるため、廃止、撤去すべき。16件 
→普通自転車歩道通行可の交通規制については、一定の条件のもと、見直しをしているものと承知しています。

どの道路にも自転車走行空間を設置すべき。29件
→ご意見は今後の取組の参考とさせていただきます。

安全性を確保できない自転車通行空間は整備すべきではない。10件
→自転車専用通行帯については、自転車と他の車両を分離し、自転車の安全を確保するために整備するものと承知しています。
完成形態と暫定形態の説明を追加するともに、暫定形態による整備は、本来の整備形態が当面困難であり、車道を通行する自転車の安全性を向上させなければならない場合の措置であることをわかりやすく記載しました。

車道通行があたかも安全であるかのように一般自転車利用者を誤誘導するような整備を推進すべきではない。9 件
→暫定形態や路面表示は全ての自転車利用者を車道通行させたり誘導するためのものではありません。自動車ドライバーに自転車の通行位置を示し、現に車道通行をしている自転車利用者に対する安全性を可能なかぎり向上させるという考えのもとで設置するものです。いただいたご意見は今後の取組の参考にさせていただきます。

自転車道は一方通行とすることが必要である。17件
→ご意見は今後の取組の参考とさせていただきます。

安全な幅員が確保され、上りと下りが識別されていれば、自転車道の双方向通行も認めるべき。 13件
→ 単路部だけに着目すれば十分な幅員が確保されていれば双方向通行の自転車道でも安全性に問題はありませんが、双方向通行の自転車道の問題は交差点処理にあります。現在の我が国の自転車道の実態や顕在化している問題に的確に取り組むため、本提言(案)では一方通行化を基本としています。なお、本提言(案)においても、双方向通行とすることを必ずしも除外していません。

現行ガイドラインの改定が必要である。12件
→ご意見は今後の取組の参考とさせていただきます。

路上駐停車対策に関するもの。 46件
→自転車通行空間における駐停車対策については、現行ガイドラインに記載している通り取り組まれているものと承知していますが、この点も含め、ご意見につきましては今後の参考とさせていただきます。

自転車、自動車、歩行者の通行ルールに関するもの。120件
自転車通行空間の安全対策に関するもの(舗装の平坦性、夜間照明等)。57件
自転車の利活用に関するもの。18件
駐輪施策に関するもの。8件
行政への助言に関するもの。8件
→(5つに対して同じ回答)ご意見は今後の取組の参考とさせていただきます。

問題に格闘する者に○(まる)

個人的には、路駐に対する回答にはずっこけそうになりましたが、それはさて置き。

大きな問題に直面すると、コトが大きすぎ&複雑すぎて、有効な解決策を考えられず、「ああ、ダメだ」「何も思いつかない」「私には解決できない」とあきらめてしまいがちです(自省の念を込めて書いています)。

けれど現状の自転車カオスに「これはやばいぞ、おかしいぞ」と何かひっかかりを感じたら、ひっかかる原因を粘り強く考え、解決への糸口が見つかったら、それがどんなに小さなものであっても、しかるべきところに届ける。そうすることでしか、大きな問題は解決できないのだと思います。面倒くさくても、時間がかかっても、それしかないのだろうと思います。

具体的な改善策は、国交省で、これから一歩ずつはかられていくでしょう。

ご協力、本当にありがとうございました。なお、詳しい報告書はこちら(国土交通省HP)にあります。ぜひご覧ください。
Ride safe and fun!

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